今日、童話「くちなしむすめ」を公開いたします。
●「くちなしむすめ」紹介ページ→http://arkham.jp/product/0029/

この「くちなしむすめ」は、ああかむの軒先を借りて発表いたしますが、美少女ゲームブランドであるああかむの作品ではなく、あくまで私、関戸ゆいぎの個人的な作品です。よって、作品内容に関するご批判は、全て私個人に向けられるべきものです。
以下、作品紹介ページに掲載したものと同じ文章になりますが、少し長話にお付き合いください。
この物語の草稿は、東日本大震災が起きた直後に一気に書き上げました。
ですが、ずっと公開を見合わせてきました。草稿を読んでもらった人たちの多くから「今、このような作品を発表するべきではない」と、かなり強く押し止められたからです。
その理由もまた、聞かずとも納得できるものでした。そしてその後、私は本作を一〇年間ずっと公開することなく奥底にしまい込んだままにしておきました。
震災から一〇年目となる今もまだ、この物語を公開して良いのか、いけないのか、ずっと悩み続けています。自分ではこの物語を慰霊のつもりで書いたのですが、果たしてこれが慰めになるのか? これを読んだ人の中には―――とくに、災害で大切な人や大切なものを失った人の目からすれば、このような架空事は怒りを呼び起こすだけの物かも知れません。
しかし、悩みながらも、私はこの物語を、やはり世に出すべきだと決心しました。
作品内容が正しいか間違っているか、許せるか許せないか、断じられるべきか救われるべきか―――という事とは別に、あの未曾有の災害をきっかけに、自分の心の中にこのような物語が生まれてしまったという事実を記しておこう、と―――それが、本作を今公開することにした、私個人の理由です。
よって、繰り返しになりますが、本作に関するご批判は、全て私個人に向けられるべきものです。決して、私以外の人を詰らないでいただきたいく、お願いいたします。
最後に、本作に挿絵を描いてくださいました悠路氏に、心から感謝申し上げます。自らも震災で大変な被害に遭われていたさなかでしたのに、力を込めて仕上げていただいた絵は、今見ても迫力を感じます。
そして、今も世界のどこかで起こっている全ての災害被害者の皆様に、心より深くお悔やみ申し上げます。